インタビュー #創業支援

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仲間との共感を大切に、夢を実現

株式会社サスティ・カ 代表取締役

村山 直美さん

2021年4月

https://rembulanbasecamp.com

@outdoorlife_producer_naomi

アウトドアライフプロデューサー。キャンプ場経営。
アメリカのキャンピングトレーラーでカフェをオープン。

どんな内容で起業されていますか?

私は「レムブランベースキャンプ」という1万坪のキャンプ場を八幡西区で経営しています。アウトドアライフプロデューサー®︎という肩書きを作りました。この肩書きは北九州市の起業セミナーを受講中に思いついたものです。商標登録もしているので、この肩書きを使えるのは、日本で私1人です。
法人を作っていますが、私1人の、ひとり社長です。アメリカのキャンピングトレーラーを使ったカフェを開いたり、レンタルスペースを提供したりしています。現在、テント持ち込みのキャンプスペースを整備中で、北九州のお出かけスポットの一つとしてご利用いただきたいです。

起業を考えてから、どんな準備をしましたか?

起業を考えたきっかけは41歳で亡くなった母と同じ年齢になった時です。母には過ごせなかった時間を私は生きていると思った時に、「何かやりたい!」と思い始めました。退職するまで26年間サラリーマンをしていましたが、45歳で退職して起業することを決めて、そこから逆算して準備をはじめました。
資金面では会社の早期退職制度を利用しました。転身支援制度で、通常の退職金に支援金が上乗せされる制度です。前職の会社では、40歳、45歳、50歳以降は毎年適用される制度だったので、計画的に利用しました。
土地を探しながら、ウーマンワークカフェ北九州の創業相談、北九州市の起業セミナーも3クール利用して、しっかりと時間をかけて準備して、進めました。
退職前から確定申告などお金について経験して学びたかったので、会社員をやりながら個人事業主も始め、会社設立は、土地の契約のタイミングで行いました。集客は早い段階から始め、具体的には土地が見つかる前からSNSで発信していました。
まず目的を決めて、期限を決めて準備するといいと思います。

仲間を集めるための秘訣は何ですか?

事業を始める前からSNSで女性目線のキャンプ場情報を発信していきました。例えば、女性トイレの環境や等身大の自分に「共感」してもらえる投稿など。「一緒にキャンプ場を作りませんか?」という投稿から集まった仲間とキャンプ場の整備を行いました。多い時は、25人以上集まっていただいています。これまでに、のべ600人以上の方がボランティアに来てくださいました。
インスタグラムのアカウントは、キャンプ場の施設名ではなくあえて個人にしています。みなさん「人」に興味があると思うからです。
資格をとってから、準備をしっかりしてから、発信を始めようとする方も多いと思いますが、始まる前の準備中の等身大の自分を見せた方がコアなファンがつくと思います。

起業してよかったことは何ですか?

2つあって、1つ目は子ども(中3、中1)に対する影響です。子どもが中学になると、「部活の予定が入れば家族旅行も行けないな」と考えたりして、キャンプ場を始めるちょうど良いタイミングでした。私は土日休みなく、365日何かしら、働き続けていて申し訳ない気持ちがあったのですが、学校の面談で先生から「お母さんがキャンプ場をやっていると、うれしそうに話していますよ」と聞いたときに、背中を見てくれていると思いました。
良い面だけでなく、設備投資のお金のやりくりをどうしようか、今週は雨だからお客さんが来ないのでどうしようか等、苦労している姿も見せています。先生からの話を聞いた時に、その姿を見せて来て、良かったと思いました。
2つ目は、スキルアップです。チラシやパンフレットのデザインもしますし、ユンボの免許も取りました。会社員時代にはできなかったこともやれるようになりました。
大好きなアメリカのキャンピングトレーラーを使って起業したいと思っていたので、責任は自分に全部かかってはきますが、私の好きを全部詰め込んだ自由度の高い働き方は、サラリーマン時代には得られなかった働き方です。起業したからこそと感じています。

10年後、目標や夢はありますか?

車イスの方にも楽しんでいただけるキャンプ場にしたいというコンセプトがあります。車イスの方から話を聞くことがあって、「人生を楽しむアクティビティが足りない」という言葉が心に残りました。それを、うちのキャンプ場でやろうと思ったんです。私のキャンプ場だけではなく、他のキャンプ場でも広がれば良いと思います。だれでも楽しめる設備になればと頑張っています。
SNSで車イスの方と知り合って、率直な意見もお聞きしています。
バリアフリーが整いすぎていると、「整えているから、自分でやってくださいね」という雰囲気になります。バスに乗る時、日本では運転手さんが補助してくれます。でも海外は、目の前に困っている人がいたら乗客が助けます。
困っている人を素通りするキャンプ場ではなく、お互いが助け合う、ちょっとお節介なキャンプ場でありたいです。この風潮が広がれば世の中も変わっていくのではないかと思います。大手でもなく、公共施設でもなく、小規模で経営している私だからできることを続けたいです。

起業する方へメッセージをお願いします。

今日が一番若いです。歳だから、お金がないから等は全部言い訳です。お金がなくても、場所がなくても起業はできます。頑張ってください。

(2023.11.1)
(令和5年度北九州市起業オープニングセミナーゲスト)